混合度測定の原理その2:到達度測定

fig 1
◎ PMMA(白成分) ポリメチルメタアクリル
◎Magnetite(黒成分)マグネタイト(酸化鉄)Fe
O

同じ混合比でも、混合方法によって、色や明度に変化のある系の例)

例えば混合機構の異なる装置(粉にかかる外力が大きく異なる)を使って、同一比率の粉体を混合する場合のフォトメーター測定値の変化のグラフ
◎混合第1段階  容器回転型混合機などのように比較的粉の動きがゆっくりとしている場合  (ソフト混合:凝集体や造粒体をこわさない)

fig 2 1:混合初期は粒径の小さい微粒子は凝集して粗い塊となる。
2:混合が進行するに従い、微粒子の粗い塊と粒径の大きい粒子が均一になっていく。
フォトメーター測定値はある収束値に向かってバラツキが少なくなって行く。


◎混合第2段階 高速撹拌型混合機などのように粉の動きが速い場合や、第2段階の混合を長時間続けると  (中程度強度混合:解砕と分散)

fig 3 1.微粒子の粗い塊は剪断力を受けて砕けて行く。
2.混合が進行するに従い、粒径の大きい粒子の周りに微粒子が付着して行く。
フォトメーター測定値は微粒子の影響を受けていく。


◎混合第3段階 高速・高剪断ミルなどで衝撃、圧縮、剪断、摩擦力を受けると         (高強度混合:分散と固定化、複合化)

fig 4 1.微粒子は次第に1次粒子にまで分散する。
2.粒径の大きい粒子の周りに微粒子が完全に付着してゆく。
フォトメーター測定値は最も微粒子の影響を受ける。


さらに混合処理を続けると、微粒子が粒径の大きい粒子の内に打ち込まれて埋没し、フォトメーター測定値は微粒子の影響を少し受けなくなる。 fig 5

付着力が強くて凝集しやすい粉体の場合には、凝集体が解砕されてゆく度合いを示すものです。


もう少し分かりやすく説明しますと、

お餅 きな粉 を十分にまぶすと、 お餅 の色は見えなくなり、 きな粉 の色ばかり見えるようになります。
お餅 は搗き立ての柔らかいお餅では無く、固くなって変形しないという条件ですが)

大きな粒の粉の周りを小さな粉が覆ってしまうと、大きな粉の色は見えなくなり、小さい粉の色しか見えなくなります。

よくまぶさずに、 きな粉 が(お餅くらいの大きさに)固まっていたら、 お餅 の色も きな粉 の色も見えます。
もし、 きな粉 の大きな固まりと お餅 が1つずつ均一に並んでいるとすると、大きな広い範囲で見ると混合は完了したとも言えます。

しかし、 きな粉 が1粒1粒に分かれたのか、どうかを知るためには到達度の測定という事が必要となってきます。

到達度とは
到達度とは混合第2段階、第3段階において、微粒子の凝集塊が次第に解砕される過程と、粒径の大きい粒子の周りに微粒子が付着しながら表面に展開してゆく過程を表すために定義された簡便な指標です。
これには、まず十分に混合分散させた基準となるべき粉体試料を用意します。(例えば乳鉢か湿式分散で十分に混合し、もうこれ以上色などの変化が進行しない状態になった粉体)

その粉体試料のフォトメーター測定値を基準(Vst基準値)として、混合中の混合物の明度がどの程度Vst基準値に近づいたかを判定するものです。


  (大阪府立大学化学工学科 佐藤宗武教授発表の論文より引用)

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